脳のパフォーマンスを高める

魚の摂取がビジネスパーソンの思考をつくる

お魚、好きですか?ランチや夕食時に、肉料理、魚料理どちらをよく食べますか?

あまり知られていない事実ですが、魚を多く食べる国ほど殺人が少ないというデータがあるほど、魚の摂取は私たち人間の感情や思考に大きく関係しているのです。

  • 職場での人間関係によって生じる気持ち
  • 結果が出せなく悔しいという感情
  • 仕事のことが24時間頭から離れないという状態
  • 怒られるかもしれないという不安
  • 今までの経験や知識をもとにあれこれ考える思考
  • プレゼンテーション前などの緊張
  • 頑張りたいときに起きるやる気
  • 行動力や実践力

実は上記のどれも脳の中の油の質と量が大きなカギを握っているのです。

というのも、脳は全重量の60%が脂質(油)でできています。脳内の様々な情報を伝える経路も、神経細胞の細胞膜も油が必須です。
その油がいい油であるか、良くない油であるかで、思考の仕方や行動力が変わってくるのです。

たとえば、「これをしよう!」と思ったときにスムーズにできるかできないか、それは脳の中の神経細胞から神経細胞に「これをしよう!」という情報がスムーズに受け渡しできているかが問題になってきます。

脳の中には神経細胞がたくさんあり、その神経細胞を「島」に例えると、島と島を行き来している船があります。その船に感情や思考や行動にうつす情報を載せて島へ運び、受け渡します。船のことを神経伝達物質と言い、60種類ほどあります。有名なものでセロトニンやノルアドレナリンがあり、セロトニンは幸せホルモンとも呼ばれていますよね。
毎時間、何百万もの情報が、神経伝達物質に運ばれ神経細胞間を行き来しています。神経細胞まで到着した情報は、細胞の受け口(レセプター)にピタリと結合されることで、ようやく情報として伝えられます。そして、伝えられた情報が連鎖反応となり情報伝達が繰り返されていきます。これが、私たちの思考、行動、感情を作り出しているのです。

そして油は、その船の行き来をスムーズにする、島で情報を柔軟に受け取りやすくするなどの役目があるのです。

特に、細胞のレセプターは油でできているのですが、情報を運んできた神経伝達物質の形に合わせてピタリと結合できるように、毎回レセプターの形を変える必要があります。神経伝達物質がいくらたくさん情報を運んできても、レセプターが柔軟に形を変えることができなければ、情報は受け取ることができなくなってしまいます。

そのレセプターを硬くしてしまう油と柔軟にしてくれる油の種類があります。いったいどんな油を摂ればよいのでしょうか。ここでは摂りたい油避けたい油をそれぞれ紹介します。

 

摂りたい油

ズバリ、魚の油(DHA・EPA)です。オメガ3と呼ばれているイワシ、サンマ、サバ、アジ、マグロなどに含まれている油は、神経細胞のレセプターを柔軟にすることで、情報を受け取りやすくし、より効率よく処理することにつながります。
記憶力、思考力アップに効果的であるだけではなく、感情や行動の調節ができることでメンタルヘルスの強化にもなります。
神経伝達物質のセロトニンは感情のコントロール、ドーパミンはやる気や集中力アップ、GABAはイライラを鎮め、心を穏やかにする働きがあります。
DHA・EPAの油で柔軟になったレセプターは、これらの神経伝達物質をしっかり受け取ることができるから、感情ややる気のコントロールができることで、鬱予防になるのです。
また、DHA・EPAは、炎症を抑制する作用もあるので、花粉症やアレルギー、体内粘膜の傷の改善にも効果的です。
他にも、身体全体の細胞膜を柔軟にしてくれるDHA・EPAは、血管細胞もしなやかにし、血液が流れやすくなることで、動脈硬化の予防にも必要な油です。

脳にも身体にも優秀なDHA・EPA!

これらは、どんな摂り方をすればよいでしょうか。もちろん魚を食べることで摂取できるのですが、摂り方にも少し注意が必要です。DHA・EPAの脂肪酸は多価不飽和脂肪酸に属し、他の物質と反応しやすく、とても酸化しやすい油です。酸化した状態のものを多く摂取すると、酸化ストレスが生じ、老化の促進、発がん、体中の炎症につながってしまいます。

新鮮な魚でのお刺身、焼き魚やムニエル、ホイル焼きなどの調理法は効率よくDHA・EPAが摂取できます。一方、煮魚や揚げ魚は、煮汁や揚げ油にDHA・EPAが溶け出し摂取率は低くなってしまいます。

また、魚の干物は長時間干してあることで油が酸化してしまっている可能性が高く、注意が必要ですが、酸化を防いで干物をつくる“灰干し”という方法があるので、干物を食べたいときは探してみると良いですね。

また、酸化を防ぐために抗酸化物質となる野菜等といっしょに食べることで、安全な形で摂り入れることができます。

そして、魚の調理は苦手!という方でも大丈夫です。サバ缶やサンマ缶などの魚の缶詰でも効率よくDHA・EPAを摂取することができるのです。1日に摂りたいDHA・EPA量は、焼いたサンマなら1尾、イワシなら2尾ほど必要なところ、缶詰ですと、サバ水煮缶やイワシ蒲焼缶などで100g程度食べれば、同じ量が摂取できてしまうほどです。これは調理の際に流れ出る油がそのまま缶詰に入っているからです。
ただ、ツナ缶に含まれている油はサラダ油が多いので注意が必要です。ぜひ毎日の食卓にサバやサンマ、イワシの缶詰摂り入れてみてください。

避けたい油

逆に神経細胞のレセプターを硬くし、情報を受け取りにくくしてしまう油もあります。意識しないで食事をしていると口に入ってくるのは、ほとんどこういった油です。
オメガ6に属されるサラダ油、加工食品に使われている油、酸化している油、マーガリンなどのトランス脂肪酸、お菓子に含まれている食物油脂などです。
これらの油は1日に5グラム程度に抑えたいものですが、倍以上摂取している方がほとんどではないでしょうか。
揚げ物じゃないと安心していても、商品裏の原材料名の表示を見てみると、食物油脂と記載されている場合が多いので、少し意識して表示の確認等もしてみてください。

朝食はパン食、昼食は会社の近くのコンビニや麺屋、夕食は肉を食べるというような生活をしていると、意識しない限り魚の摂取が見込めません。自然と、魚の摂取が少なく、加工食品やサラダ油等の摂取が増えてしまいます。

思考を柔軟に、イキイキとした気持ちを維持させ、いざというときにやる気が出せる脳を保つには、魚の摂取が欠かせません。毎日定食ランチや缶詰等で魚料理を取り入れて、脳の中の情報をキャッチしやすい柔らかさを意識したいですね。

出典、参考図書;

ハルキ文庫「奇跡の脳をつくる食事とサプリメント」
 

花風社「脳画像で探る「うつ」と「不安」の癒し方

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にしだかなこ

にしだかなこ

管理栄養士・幼児食アドバイザー メンタルヘルスと“食”について支援センター等で講師を務める。 2016.12「心を育てる食育」出版。

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