書籍レビュー

「会社の業績は社員の健康状態で9割決まる」 健康経営、働き方改革に役立つ書籍レビュー vol.2

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加藤 功甫

加藤 功甫

シニアコンサルタント株式会社Bodytune-Partners
NPO法人Connection of the Children 代表理事 一般社団法人日本スポーツ&ボディ・マイスター協会 ディレクター 横浜国立大学大学院修了。運動生理学修士。 元中高一貫校保健体育教師。 2011年、25社の協賛を得て、ユーラシア大陸2万キロを自転車横断。 各地の教育機関を訪問し、教育の可能性を研究。 2013年、非営利活動法人を立ち上げ、グローバルでローカルな教育プログラムを開発。全国の教育機関でプログラムを実施している。 2014年より、日本スポーツ&ボディ・マイスター協会でスポーツイベントの企画運営に関与。 年間150回のイベントのオーガナイズを実施。 主な研修テーマはレジリエンス、マインドフルネス、コミュニケーション、チームビルディング、キャリア、多文化共生。 2013年、2014年トライアスロン(ロング)日本代表 2015年、サハラマラソン250kmを完走。 資格 小学校教諭専修免許 中学校教諭専修免許(保健体育) 高等学校教諭専修免許(保健体育) 水泳1級 書籍 『ユーラシア大陸自転車横断2万キロの旅』 (枻出版社 2012)

今回の記事では健康に関する書籍のレビューをお届けいたします。

今回ご紹介させていただくのは2015年に幻冬社より「会社の業績は社員の健康状態で9割決まる」古井祐司(著)です。

「健康」とは、なんでしょうか。
大辞林を引くと、

けんこう —かう 【健康】
(名・形動)

体や心がすこやかで、悪いところのないこと(さま)。医学では単に病気や虚弱でないというだけでなく、肉体的精神的社会的に調和のとれた良い状態にあることをいう。「―な子供」

という語釈がでてきます。

ということは、最近よく耳にする「健康経営」とは、経営的な視点で、社員の健康を管理、向上させることで、会社の生産性を向上させる、という狙いがあると解釈できます。

守りの取り組みから、攻めの取り組みへ

今までも企業は、社会保障制度の充実や、福利厚生など、社員の健康に対して対策をしてこなかったわけではありません。

しかしなぜ、いま改めて「健康」が取りざたされているのかというと、今までの「何かが起きてしまってからの対応」、すなわち後手後手の対応では、根本的な問題解決に繋がらないことが、近年多発するメンタルヘルス疾患等の問題で浮き彫りになったためです。

「発生してからの対策:守り」ではなく、「事前に健康を管理して、ハイパフォーマンスを維持:攻め」の対応の必要性に気づいたのです。

 

体調不良が経営に与える影響

では、実際に体調不良がどれくらい経営に影響を与えるのでしょうか。本「会社の業績は社員の健康状態で9割決まる」において、アクサ生命がまとめた「社長さん白書」で1万人の経営者を対象に実施したアンケート結果が公表されており、

それによると、体調不良が経営に影響を与えたと感じたことがある経営者は、全体の6割に登りました。更に、その中の約8割が業務遂行の速度や他の社員の業務量に影響したと回答しました。

また、2013年に実施された、健康日本21推進フォーラムでの、「疾患・症状が仕事の生産性等に与える影響に関する調査」では、

健康時のパフォーマンスを100とした場合、首や肩のコリを感じるだけでも、業務遂行能力は30%減、メンタル面の不調を抱えているときは、なんと45%パフォーマンスが低下するという数字が出ています。

 

欠勤よりもタチが悪いプレゼンティズム

みなさんはプレゼンティズムという言葉をきいたことがあるでしょうか。欠席を意味するアブセンティズム(欠勤や休職、あるいは遅刻早退など、職場にいることができず、業務に就けない状態)に対し、プレゼンティズムは、「出勤しているにも関わらず、心身の健康上の問題により、充分にパフォーマンスが上がらない状態」を意味します。

たとえば花粉の時期、花粉症の人の作業効率は少なくとも5%低下することや、風邪を引いた状態で出勤することでも、作業効率がやはり約5%低下することが知られています。

少し古いデータになりますが、2006年のハーバードビジネスレビューによると、健康関連コストの構造の中で、従来対策をしてきたアブセンティズムによる損失が全体の13%(5000万ドル)に対し、プレゼンティズムによる損失は全体の実に63%(3億1000万ドル)にものぼることが明らかになっています。

 

仕事内容と健康状態の4つのパターンを把握せよ

本の中で、私たちの仕事と健康状態はその内容により、4つのパターンに分けられると著者は言っています。

縦軸に「自分で生活のリズムを作れるか否か」、横軸に「事務系・非事務系」を取った際、グラフには下記のようになります。

左上 ①非生産部門・工場系  右上 ②管理部門・事務系
左下 ③夜勤のある業務    右下 ④営業職・サービス業・接客業・IT関連

①は高カロリー、高塩分を好む傾向がある為、肥満や高血圧になるリスクが高いといわれています。
②は、大きな病気にはなりにくいが、基礎代謝率は低め。部署によっては睡眠の質が悪い傾向があります。
③は不規則な食事による肥満や、脂肪肝のリスクが高くなるといわれています。
④は食生活が乱れやすく、血糖値が高くなりやすい傾向があります。よってメタボや糖尿病のリスクが他よりも高いです。

4つのパターンに対する具体的な事例や対策は本書をお読みください。

 

最後に、同じく、社長さん白書によると、社員が健康になった際の具体的な効果として、48%が社内の雰囲気の改善がみられ、32%が業務の効率化(プレゼンティズム改善)を実感し、18%が欠勤・早退・遅刻(アブセンティズム)が減少したそうです。

 

健康への投資は、どんな投資よりも確実にハイリターンを得ることができる、優良株なのですね。編集部でも、健康が業務に及ぼす影響は経験値として感じています。一方、上記の4分類に関して、例えば「自分たちは夜勤が多い仕事だから脂肪肝傾向か・・・」と、頭ごなしに③のタイプだと決めつけ、食事のみに注力した対策を打つのは禁物です。

なぜかというと、夜勤主体の仕事=不規則な生活、とは限らず、むしろ、ご自身で生活リズムをコントロールできれば、夜勤でも規則正しい生活は可能だからです。逆に、事務職=規則正しい生活ともいえません。

編集部からの補足として、どのような仕事であっても「毎日同じリズムで生活する」ことです。とはいえ、何から始めればいいのかわからない時には、まずは毎日の起床時間を揃えることから始めてみてください。

そしてこれを機に、自社の健康経営を本格化させてみてはいかがでしょうか。

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