書籍レビュー

「疲れない体を作る免疫力」 健康経営、働き方改革に役立つ書籍レビュー vol.4

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加藤 功甫

加藤 功甫

シニアコンサルタント株式会社Bodytune-Partners
NPO法人Connection of the Children 代表理事 一般社団法人日本スポーツ&ボディ・マイスター協会 ディレクター 横浜国立大学大学院修了。運動生理学修士。 元中高一貫校保健体育教師。 2011年、25社の協賛を得て、ユーラシア大陸2万キロを自転車横断。 各地の教育機関を訪問し、教育の可能性を研究。 2013年、非営利活動法人を立ち上げ、グローバルでローカルな教育プログラムを開発。全国の教育機関でプログラムを実施している。 2014年より、日本スポーツ&ボディ・マイスター協会でスポーツイベントの企画運営に関与。 年間150回のイベントのオーガナイズを実施。 主な研修テーマはレジリエンス、マインドフルネス、コミュニケーション、チームビルディング、キャリア、多文化共生。 2013年、2014年トライアスロン(ロング)日本代表 2015年、サハラマラソン250kmを完走。 資格 小学校教諭専修免許 中学校教諭専修免許(保健体育) 高等学校教諭専修免許(保健体育) 水泳1級 書籍 『ユーラシア大陸自転車横断2万キロの旅』 (枻出版社 2012)

今回も健康経営や生産性向上に役立つ書籍のレビューをお届けいたします。

今回ご紹介させていただくのは2010年に知的生きかた文庫より出版された「疲れない体を作る免疫力」安保徹 (著)です。

 

 

厚生労働省の平成23年度総括・分担研究報告書によると、
2011年に4000人を対象に実施した疫学調査(3015人回答)では
3分の1以上が慢性的な疲労を自覚していることがわかりました。

「過労死」という言葉がそのまま「karoshi」として世界で使われていることからも
日本人の慢性疲労の問題は諸外国と比較しても顕著であることがわかります。

疲れない体とはどんな体?

「疲れない体」とはどんな体なのでしょうか?

結論からお伝えしますと、「疲れない体」というものは
存在しません。

「疲労」という感覚は、生物にとってなくてはならないものです。

疲労は、痛み、発熱と並んで生体の3大アラームと言われ、身体にとって生命と健康を維持する上で重要な信号のひとつである。健常者における生理的疲労は、精神あるいは身体に負荷を与えた際に作業効率(パフォーマンス)が一過性に低下した状態と定義できる。

-wikipedia

そうです。私たちは疲労を感じ取ることで、休息を取り、体内の恒常性(ホメオスタシス)を保ちます。

では、本書のいう「疲れない体」とは、一体なんなのでしょうか。

それは

「疲れをためない体」であり「疲れてもすぐに回復する体」

と定義されています。すなわち、「疲れない」のではなく、「疲労へ適切な対処を知っていて適宜それができている」ということです。

神経系から疲労を捉える

 

 

 

 

 

 

 

 

私たちの体は様々な高度なシステムによって維持管理されています。

その中でも代表的なシステムが、「神経系」です。

神経系には大きく体性神経自律神経の2つがあります。

自分の意思で動かす体性神経には、運動神経と感覚神経がありますが、
今回取り上げるのは、自分の意思ではなく、自動的に体に作用する
自律神経です。

「自律神経ってなんだかよくわからない・・・」

と思われるかもしれませんが、普段自分が意識しなくても
体が勝手に調節してくれている機能、ということです。

すなわち、心拍、血圧、呼吸、消化、代謝などの調節を司るのが
自律神経です。

私たちが意識的に心臓を止めたり、寝ている間に呼吸が止まったりしたら大変ですよね・・・

自律神経はさらに、交感神経副交感神経に分けられます。

交感神経は主に日中働き、私たちが活発に活動するサポートをします。
反対に副交感神経は主に夕方から夜にかけて働き、リラックスした状態をつくるサポートをします。

交感神経と副交感神経は、通常は拮抗関係にあり、シーソーのように交互に活発化して、体に働きかけています。(中略)このシーソーの働きがうまくいっている時は、生活にメリハリがつき、体調もいい状態が続きます。

しかし、この関係性を無視して、働きすぎたり、
反対にリラックスしすぎたりする生活を続けていると、
シーソーが傾いたままの状態になり、偏った側特有の疲れが生じ、
それが重なることで、ついには病気になってしまいます。

本書では、自分の現在の生活において、交感神経優位なのか、副交感神経優位なのかを
簡単にチェックできるリストが掲載されています。
一度ご自身の状態を確認してみるといいかもしれません。

自律神経が乱れることで生じる疲れとその要因

 

自律神経には交感神経と副交感神経があることがわかりましたが、
実際、交感神経優位な状態や、副交感神経優位の状態だと何が悪いのでしょうか。

まず、交感神経優位タイプの疲れとしては、

いつも、体が疲れている。いらいらする。ピリピリした不安感が強い。原因を周りの人のせいにして怒りやすい。興奮して眠れない。血圧が高い。血糖値が高い。肩・背中・腰に活動しすぎによる疲れ、痛みが出る。便秘がひどい。体温が低い。

などがあげられます。休息を十分に取らず生活をしていると、
「副交感神経を刺激して休みたい」という無意識の欲求が湧き、
体が味の濃いものや甘いものを欲するようになります。

それでも無理しすぎると、交感神経型の病気(心筋梗塞、脳卒中、
クモ膜下出血など)の世界に入っていってしまいます。

一方副交感神経優位タイプの疲れとしては、「すぐ疲れる」という特徴があります。
疲れの感覚としては、

少し動くだけでも疲れる。やる気が起こらない。他人の目が気になる。落ち込みやすい。下痢をしやすい。朝起きるのが億劫になる。

これが続くことで、同様に、副交感神経優位の病気(アレルギー疾患・リウマチ性疾患・
偏頭痛など)の世界に入ってしまいます。

現在の日本では、約7割の人が交感神経優位の傾向がありますが、その主たる原因は
3つのストレスです。
1)働きすぎ
2)心の悩み
3)薬の常用

一方、女性を中心に3割の人が副交感神経優位の傾向があるのですが、その主たる原因は
1)マイペースな生活
2)ストレスがなさすぎる

と本「疲れない体をつくる免疫力」では示唆しています。

 

疲れない体を手に入れるために今日からできること

 

本書では、疲れない体(=疲れをためない体・疲れてもすぐに回復する体)を手に入れるために、
交感神経優位・副交感神経優位、それぞれに対するアプローチが紹介されています。

例えば、軽度の交感神経優位の傾向がある際は、
深めの深呼吸を5回するだけでも効果を感じることができます。

なぜなら、一定時間交感神経が緊張し続けることで、
血中酸素濃度が下がることが間々あるからです。

仕事中、「体が重いな」と感じた際はすぐに深呼吸。
それから、少し長めの休息を取ってみることをお勧めします。

不快な疲労感が、心地よい疲労感に変わり、
体に蓄積する前に疲労を抜くことができます。

また、副交感神経が優位傾向の際は、日光をよく浴びること
まずトライしてみてください。

副交感神経優位による疲労は、たるんだ生活により、
体の機能が低下し、疲労を感じることが原因なので、

日光を浴び、交感神経を刺激してみましょう。そのまま、軽く運動をするとより効果があります。

その他、レベル別の対策の詳細は、本書をご一読ください。

 

さて、ここまで、自律神経からみた、カラダマネジメントを
みてまいりましたが、現在編集部で密かにブームになっているのが、

白湯

です。

本書にも記載がありますが、現代人が抱える健康に関する諸問題の原因として

「冷房・冷蔵技術」による体の冷え

があげられます。体が冷えることで、深部体温の急降下、急上昇が起こり
その度に自律神経系は体内の恒常性を保つのに奔走します。

結果体力の消耗が進み、免疫力が低下、様々な病気を誘発します。

そこで定期的に白湯を飲むことで体が冷えることを抑え自律神経のバランスが整うのです。

特に、インドのアーユルベーダの考え方をベースに、白湯へ
クミン・コリアンダー・ジンジャー・ブラックペッパーを少々入れた
スパイス白湯は、体がとても温まります。

夏に向け、みなさんも試してみてはいかがでしょうか。

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