生産性向上

プレゼンなど緊張するときの腹痛や下痢、どうにかしたい!!

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にしだかなこ

にしだかなこ

管理栄養士・幼児食アドバイザー メンタルヘルスと“食”について支援センター等で講師を務める。 2016.12「心を育てる食育」出版。

プレゼンテーションや緊張するような場面で、腹痛や下痢、便秘、吐き気や胃痛に悩まされている方は少なくありません。

プレゼンの前に下痢を繰り返す
→プレゼンのことを考えると不安になる
→その不安感がストレスとなり、さらに下痢の頻度を増やす

などと、悪循環につながっている方も多いのではないでしょうか。

また、常に症状のことが気になってしまい、仕事に集中できないなど、日々の生活にも支障がでてきてしまいます。先進国では、10~15%の人がこの症状で苦しんでいるといわれ、消化器科を受診する3分の1を占めるほどです。男性では下痢型、女性では便秘型が多いといわれています。この症状、過敏性腸症候群と呼ばれていますが、今回は、その原因となるもの、症状を緩和する対策を挙げていきたいと思います。

<どうして緊張すると腸の症状がでるのか>

私たちの身体には自律神経といい、緊張しているときに優位になる「交感神経」と、リラックスしているときに優位になる「副交感神経」があり、身体と心のさまざまな状態を調節しています。胃腸の働きを支配しているのは副交感神経であり、通常、緊張しているときは交感神経が優位に働くので、胃腸の機能は休息モードになっており、便意を感じません。

私たちはストレスを感じると、脳の視床下部がそれを感知し、ホルモンを分泌し、それにより脳下垂体からさらに別のホルモンが分泌され、情報が副腎(腎臓の上についている臓器)に伝えられると、そこからグルココルチコイドというホルモンが放出されます。グルココルチコイドは、ストレスに適応できるような身体の状態にしてくれます。

しかし、ストレスが多い状況が長く続くと、グルココルチコイドが過剰に出て、管理している副腎や脳を疲れさせてしまいます。その疲労により、自律神経のバランスが崩れ、本来、緊張して交感神経が働くところ、副交感神経が過敏に働き、同時に腸の動きが遅くなったり早くなったりして、下痢や便秘といった症状を引き起こすのです。

さらに、脳と腸には密接に関わっており、脳腸相関とよばれるほど影響し合っています。脳でつくられる幸せホルモン「セロトニン」は、不足するとメンタルの不調につながるほど、私たちの感情や行動に関わっている神経伝達物質ですが、腸では脳の何十倍ものセロトニンが作られています。

脳でつくられるセロトニンと腸でつくられるセロトニン、働き方は全く違うのですが、関わり合っています。脳のセロトニンはメンタル面に大きく影響するのに対し、腸内のセロトニンは、腸のぜん動運動に作用していると考えられています。脳がストレスをキャッチすると、腸ではセロトニンが分泌されます。過敏性腸症候群では、この腸のセロトニン分泌が過剰に行われ、腸が高速で動き下痢につながると言われています。

では、何とかしたいこの症状、どのように緩和していけば良いでしょうか。

<症状を緩和させる対策3つ>

① 腸内環境を整える

まずは腸内を整えることからスタートしましょう。

自律神経を整えたり、ホルモンを管理している副腎がしっかり働くことができるようにするのも、あらゆる栄養素が必要です。栄養素を全身にしっかり送り届けるためにも、小腸でしっかり栄養を吸収することが大事になります。また、下痢や便秘症状を緩和させるためにも、腸内を整えることは必須になります。発酵食品などから乳酸菌をしっかり摂り、野菜や海藻、きのこなどから食物繊維を摂ることを心掛けましょう。また、砂糖や酸化した油(総菜や菓子、加工食品に多く含まれる)、多量の小麦製品、食品添加物は腸内の悪玉菌を増やす原因となりますので、控えたいですね。症状が強い場合は、乳酸菌のサプリメントなどの力を借りても良いです。

② 脳内神経伝達物質のバランスを整え、不安感を抑える

脳内では、感情や行動の情報を運んでいる神経伝達物質が何種類か常に働いています。過敏性腸症候群の方は、リラックスにつながるGABAを増やし、緊張や不安につながるノルアドレナリンを減らすことで、緊張や不安からくるストレスを減らすことにつながります。GABAをつくるにはグルタミン酸(アミノ酸)、ビタミンB6、ナイアシン(ビタミンB群)が必要です。魚介、レバー、肉、卵、野菜、海藻、ナッツなどをバランス良く摂ることでアミノ酸やビタミンB群は補えます。また、亜鉛が不足しているとノルアドレナリンがたくさん作られてしまいますので、魚介類、レバーの摂取を心掛けたいですね。加工食品やインスタント食品に含まれている食品添加物は、亜鉛の吸収を妨げてしまいますので、不安や緊張が強いときは控えましょう。

③ 血糖値を整える

血糖値は、糖質が多く含むもの(砂糖、白米、小麦製品、清涼飲料水、菓子など)を食べることにより上がり、上がったところでインスリンが分泌され、血糖値がもとに戻ります。普段から糖質だけの食事、糖質が多い食事、食物繊維が少ない食事をしていると、血糖値の上がり方、下がり方が乱れてきてしまいます。乱れると、自律神経のバランスも崩れてきてしまいます。甘いものは控え、おにぎりだけ、パンや麺だけの食事も気を付けたいですね。

 

食習慣を変えてすぐ体質が変わるというものではありませんが、身体の中の神経、ホルモン、血液、腸内などは全てつながっています。過敏性腸症候群は腸だけの症状だと思いがちですが、身体と心の状態を全て整えていくことで少しずつ症状は改善されていきます。自分は、ストレスに弱い体質だと決めてしまう前に、まずは身体をつくっている食習慣とじっくり向き合ってみてはいかがでしょうか。

 

<参考文献>

「こころに効く精神栄養学」女子栄養大学出版部


「脳から「うつ」が消える食事」青春出版社

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