食事

「好きなもの」がやめられないのはなぜ? 〜食から取り組む健康経営〜

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にしだかなこ

にしだかなこ

管理栄養士・幼児食アドバイザー メンタルヘルスと“食”について支援センター等で講師を務める。 2016.12「心を育てる食育」出版。

あなたがこれを食べる(飲む)と幸せを感じるものは何ですか?

と質問すると、ケーキ、ビール、コーヒー、アイス、ラーメンなどと答えが返ってくることが多いです。

逆に、

食べ過ぎる(飲み過ぎる)と良くないことを知っていながら、やめられないものは何ですか?

という質問にも、ケーキ、ビール、コーヒー、アイス、ラーメンなどと返ってきます。

 

この2つの質問、どうして答えが同じになるのでしょうか?

 

実際に「やめたい」と思ってはいるけど「やめられないもの」ランキングでも、1位が喫煙、2位が間食、3位が飲酒、5位に食べ過ぎが入っています。(2017年2月 博報堂行動デザイン研究所調べ/20~69歳男女1000人対象)

多くの人が甘いものや飲酒の身体への影響を考えて、やめたいと思っていることが分かります。

にも関わらず、

「仕事終わりのビールを飲まないなんて考えられない!」
「仕事から帰るときにスナック菓子を必ず買ってしまう!」
「昼休憩に甘いものを食べないとイライラする!」
「コーヒーを口にすることで落ち着く!」

など、仕事でのストレスを食べる(飲む)ことによって発散させている人の数は大変多いのです。

では、どのような仕組みでこれらを食べると満足感が得られ、逆に食べられない環境だとイライラしてしまうのでしょうか。

まず脳内のお話からしていきましょう。

ドーパミンという言葉を聞いたことがある人は多いかと思います。ドーパミンとは、神経細胞から神経細胞に伝達される「快楽ホルモン」「報酬ホルモン」とも呼ばれる神経伝達物質です。分泌されたときに快感や満足感、爽快感を感じます。

仕事でのやりがいや、パチンコやゲームなどのワクワク感を求めて、仕事やパチンコ、ゲームに没頭するのも、このドーパミンの仕業です。

一言でいうと、脳のご褒美です。私たちは、仕事で目標をやり遂げたり、趣味に没頭したり、美味しいと思っているものを食べたりすると、「楽しい・爽快・幸せ」といった気分になります。これを支配しているのが、脳に分泌されるドーパミンなのです。

 

ドーパミンの分泌はメリットも大きいのですが、危険も伴います。

ご褒美のあげ過ぎには注意が必要なのです。やりがいや満足感ばかり求め、脳がマヒしてしまい、自分のペース以上に頑張ってしまったり、食べ過ぎてしまうと、身体の機能が悲鳴をあげてしまいます。

脳はご褒美でごまかすことができでも、身体は正直なのです。脳にご褒美をあげているつもりで、身体に必要な睡眠や食事がおろそかになっていては、あらゆる症状として現れてきます。

 

「ビールを飲むとリフレッシュできる」という気持ちは、「ビールを飲むと仕事のストレスが解消されて、満ち足りた気分になる」と脳が決めつけていて、実際その通りの行動がされることで、しっかりと快楽ホルモンであるドーパミンが分泌される仕組みになっています。

逆に、何らかの事情により、ビールとストレス発散を結びつけている思い込みから外れてしまうと、「ご褒美がもらえなかった」と、イライラしてしまうのです。

 

食べ物(飲み物)で、このドーパミンを出しやすいものが、糖質、脂肪、アルコール、カフェイン、化学的旨み味を含むものです。

今まで「味噌汁が私の一番のご褒美」だと答える人に出会ったことがありません。もちろん、そう思っている人もいるかと思います。本来、味噌汁は昆布や煮干しの旨み成分たっぷりで舌で美味しいと味わえるものです。

ただ、味噌汁にはドーパミンが分泌されやすい糖質、脂肪、アルコール、カフェイン、化学的旨み味が入っていません。普段化学的な旨み味のものを食べ慣れていると、自然な昆布などの旨み成分では物足りなくなってしまうのです。

科学的な旨み味とは、商品の裏の原材料に「調味料(アミノ酸等)」と記載されているものです。化学添加物により、脳が直感的に「旨い!」と認識するものになっています。

 

例えば、インスタントラーメンは麺(糖質)、スープ(脂肪と化学的旨み味)と、3つも脳からドーパミンが出やすいものが入っています。身体に悪いと分かっていながら、インスタントラーメンが食べたくなる衝動は、このためです。

 

私たちが「これを食べると幸せな気分になる!」と認識しているもののほとんどは、舌が判断して美味しいと決めているのではなく、脳が美味しいと認識しているものが多いのです。

脳からドーパミンが出されワクワクした気分になることは、やる気にもつながり、必要なことです。

ただ、「食べることによって、脳へのご褒美を常に与える」「ストレスを感じたときは好きなものを食べて発散する」という習慣をつけていると、「好きなものを食べる」といった行為がエスカレートしていきます。

次第に、「1日の終わりにビールを飲まないとイライラする」「がんばったご褒美にアイスクリームを食べないと、食べたくて仕方なくなる」などと、常に「好きなものを食べて満ち足りた気分になりたい」という感情が、脳を支配してしまうことになります。

すると、体重が増えたり、血圧や血糖値に影響がでたり、頭痛や便秘につながったりと、身体にあらゆる症状として現れるようになります。

 

食べる(飲む)ことでのストレス解消が習慣になっている場合、一度二週間ほどそれらを含む製品を身体の中に入れない期間をつくると、脳からの食べたい!(飲みたい)といった欲求も薄れてきます。

また、砂糖を摂らない代わりに、低カロリー甘味料などを使用したものを食べていると、いつまでたっても「甘いものを我慢しなくてはいけない」という脳が欲しがっている状況は変わりません。

2週間ほど身体の中から甘いものを断つと、脳からの欲求もなくなり、我慢するという行為なしで、自然と甘いものを摂らなくても平気な脳に変わっていきます。

 

そして、「甘いものを食べない私は素敵」「休肝日をつくれる俺は最高」など、あえて声に出して行動するだけで、ドーパミンが分泌されます。

このように脳を騙しながら、食べる(飲む)こと=ストレス発散をいう図式を脳の中から減らしていくと、上手に食欲をコントロールしていくことにもつながります。

結果、飲み過ぎや食べ過ぎによる健康被害(メタボリックシンドロームやがん、うつ病など)の予防となります。

 

仕事のストレス発散と食べ物を結びつけている日常を送っている場合は、脳をだます行為から始め、自身でコントロールできる食欲を身につけると良いですね。

 

 

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