書籍レビュー

「LIFE SHIFT‐100年時代の人生戦略‐(後編)」働き方改革を考える人事の皆様へオススメ健康本 vol.13

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加藤 功甫

加藤 功甫

シニアコンサルタント株式会社Bodytune-Partners
NPO法人Connection of the Children 代表理事 一般社団法人日本スポーツ&ボディ・マイスター協会 ディレクター 横浜国立大学大学院修了。運動生理学修士。 元中高一貫校保健体育教師。 2011年、25社の協賛を得て、ユーラシア大陸2万キロを自転車横断。 各地の教育機関を訪問し、教育の可能性を研究。 2013年、非営利活動法人を立ち上げ、グローバルでローカルな教育プログラムを開発。全国の教育機関でプログラムを実施している。 2014年より、日本スポーツ&ボディ・マイスター協会でスポーツイベントの企画運営に関与。 年間150回のイベントのオーガナイズを実施。 主な研修テーマはレジリエンス、マインドフルネス、コミュニケーション、チームビルディング、キャリア、多文化共生。 2013年、2014年トライアスロン(ロング)日本代表 2015年、サハラマラソン250kmを完走。 資格 小学校教諭専修免許 中学校教諭専修免許(保健体育) 高等学校教諭専修免許(保健体育) 水泳1級 書籍 『ユーラシア大陸自転車横断2万キロの旅』 (枻出版社 2012)

「LIFE SHIFT-100年時代の人生戦略-」のレビュー後編です。

前編 → コチラ

前編では、本書の前編として、

「100年時代」とはなにか。

どんな変化が起こりうるのか。

現在と、100年時代とは、何が変わるのか。

を見てまいりました。

後編の今回は、100年時代の新しいシナリオ、そしてそこで必要になってくるお金の考え方や人間関係を一緒に見ていきたいと思います。

3.0シナリオから5.0シナリオへ。可能性を広げよう。


本書の特徴として、これから起こりうる変化を、3人の登場人物の人生をトレースする形で描かれていることが挙げられます。

現在主流となっている、「学び」「勤労」「引退」の3ステージを生きるジャック、移行期を生きるジミー、そして、100年時代を生きるジェーン。

3.0シナリオとは、まさに上記の「学び」「勤労」「引退」の3ステージの考え方を言います。

最初の学生時代の投資(勉学や人間関係などの資産。本書では、「生産性資産」「活力資産」「変身資産」「有形の資産」の4つを挙げている)を頼りに、勤労人生を最後まで生き抜き、65歳で引退を目指すものである。

対して、5.0シナリオとは、100年時代を生きるジェーンに必須のシナリオです。

学生時代の投資のみを頼りに引退まで突き進む3.0シナリオとは全く異なる生き方、すなわち、人生の複数のポイントにおいて、4つの資産、特に「生産性資産」と「活力資産」に再投資し、それらを再活性化し続けなれけば、100年時代は生き抜けないと著者は言っています。

大きな転機が2度しかなかった3.0シナリオに対して、5.0シナリオでは4回の大きな転機が訪れる可能性があります。

そのためにも、本書では、日々「人的ネットワークの構築」や「自分の軸の明確化」そして「新しいもの・ことへのオープンマインド」を探求することが必須であると言っています。

100年人生にかかる費用はどうまかなうのか

より長い人生を送るにあたり、「お金」の問題は切っても切り離せません。
しかし、金融関係の知識は、どうしても難しく感じついつい、手をつけないまま日々過ごしがちではないでしょうか。

また、資金計画を立てることの恩恵がなかなか実感できないことも、問題ではないか、と本書では仮説立てしています。
時間軸として、遠く離れたことを実感したり、それに対して危機感を感じて備えることは、なかなか難しいこと。

わかりやすく言えば、未来に備えてお金を蓄えることは、現在から未来にお金を移すことだ。

わかっちゃいるのだけれど、ほとんどの人は、未来の自分のことをなかなか自分ごとに落とし込めていないのではないでしょうか。
これは、経済学者リチャード・ハーンスタインとデーヴィト・レイブソンが唱えた「双曲割引」の概念で説明できると言います。

(わかりやすい例えとして)痩せるためには忍耐が必要だが、それが恩恵をもたらすまでには時間がかかる。その結果、レストランでの食事の最後にデザートメニューを目の前にすると、ガトーショコラの魅力に屈してしまう。そしてまた明日からはデザートには手を出さず、ヘルシーなフルーツを食べ、エクササイズをしようと決意する。言うまでもなく、「明日」にもこれと同じことが繰り返される。

目の前の魅力に屈してしまうのが人間の性なのであれば、どう将来を見据えた計画を貫けば良いのでしょうか。
著者は人間の特性「現状維持バイアス」を活用することをオススメしています。

人間は一度決定したことに関しては、多くの人はその決定事項をそのまま放置するというものです。

多くの場合、このバイアスはマイナスに語られることが多いのですが、ここでは、ポジティブにこのバイアスを活用する例が挙げられています。
それが、「毎月一定の金額を銀行の普通預金から定期預金に移すようにする」ことです。

いったん貯蓄のプランを決めてしまえば、多くの人はそれをそのまま放置するので、計画通りに貯蓄が行われるのだ。

そのほかにも多くのヒントが本書では書かれているので、ぜひ興味がある方は本書をご参考ください。

今と100年時代、人間関係はこう変わる


ある面で、日本は世界を大きくリードする国と言えます。
それは、進む「超高齢化」社会に関してです。

多くの人が100年時代を送るようになる=少子高齢化は世界規模で進むと言えます。

1880年には全世帯の75%に子供がいたが、2005年の時点でその割合は41%まで下がっている。

さらには、夫婦の離婚率も上昇しています。

1950年代のアメリカでは、白人時代卒女性の結婚生活が離婚で終わる割合は12%にすぎなかった。(中略)1970年代には、全ての夫婦の約48%が結婚後25年以内に離婚するようになった。

100年時代において、上記の問題は、大きく関わってくるでしょう。
しかし、離婚は何も悪いことではない、と本書では語っています。

3.0ステージで基本的に大きな変化が起きにくい人生を送る人々にとって、勤労時期の初期に出会ったパートナーと一生寄り添い続けることは、現実味があります。(もちろん生涯寄り添うことは大変な理解が必要だとも言っていますが)

しかし、その人の価値観や人生が、何度も大きく変化する5.0シナリオでは、離婚をしても、そこから立ち直り、金銭的な資産と無形の資産を築き直せる時間的余裕があるのです。

結果、100年時代には、別離や離婚をして生涯に複数のパートナーとの生活を経験する確率が高まりそうだと著者は予言しています。

また、人生が長くなることで、より多世代な交流が生まれることは自然な考え方でしょう。

これまでの3ステージの人生では、同世代の人たちが一斉行進するように人生のステージを進むため、年齢層ごとに人々が隔離されて生きる欧米型の社会が出現した。(中略)しかし、マルチステージの人生では、年齢とステージが一致しなくなり、大人が若々しく生きるようになる結果、世代間の関係に大きな変化が生まれる。

もちろん課題は多くあるのでしょうが、今後は核家族化から、多世代同居型、すなわち、昭和の日本の家族のあり方、また、アジア諸国の家族のあり方が、世の中の主流となるのではないかと言われています。

多世代同居になることで得られるメリットとしては

子供達は祖父母と多くの時間を過ごせ、勤労世代は親の支えを頼もしく感じられ、高齢者は自らが役割をもって貢献できていると実感できる。異世代とのふれあいが寿命を延ばす可能性を示唆する研究結果も増えている。

世界60カ国以上を訪れる中で、上記の説は説得力があると感じる部分が多々ありました。
特に、アジアの田舎でのコミュニティの形成、そしてそこで異世代のふれあいがこれからの超高齢化社会には適合する可能性が高いのではないでしょうか。

また、異世代の交流に加え、多国籍な関わりが今後増える可能性は誰もが否定できません。
多世代多国籍な交流に、一度真剣に目を向け、自身が体感しながら自分の世代、そして次の世代を生きる人々に、思いを伝承していくことが求められているのかもしれません。

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