健康

疲れにくい体をつくる秘訣は「よく噛むこと」だ!

子供の頃に「よく噛んで食べなさい」と言われたことがある人は多いかと思います。一口30回噛むように推奨されているものの、それだけの回数咀嚼している人はほとんどいないのではないでしょうか。

「牛丼やラーメンを10分もかけずに食べる」という習慣は、実は仕事のパフォーマンスの低下にも影響します。

よく噛むようにしたからといって仕事のパフォーマンスは関係ないという声が聞こえてきそうですが、実は「よく噛むこと」が体質の全ての鍵を握っているのです。

私たちが普段食べているものは、口から入り、胃で消化されて、十二指腸を通過し、腸で吸収されます。その後、吸収された栄養素は腸から血液に乗って全身に運ばれます。そして、全身に存在している細胞が、血液により運ばれてきた栄養を取り入れることによって、栄養素は初めて効果を発揮します。

食べ物が私たちの身体を動かすパワーになるためには、これだけの箇所を経由する必要があるのです。そのため、胃の粘膜が弱っていたり、腸の悪玉菌が多かったり、血液がドロドロ状態だと、食べ物は栄養として細胞まで届きません。その結果、細胞自体が栄養不足となり、疲れやすさ、イライラ、眠気、頭痛などさまざまな症状が表れます。

 

また、胃や腸の動きは自分でコントロールできません。いくら消化吸収能力を上げたいからと、

胃に対して「胃酸をしっかり出してくれ~」

血液に対して「しっかり隅々の細胞まで栄養を運んでくれ~」

と意識していてもその通り胃や血液が動いてくれるわけではありません。

食べ物が口から入り細胞に取り込まれるまでの消化吸収の一連の流れにおいて、唯一自分でコントロールできるのが「よく噛んで唾液を出す」ことなのです。

よく噛んで第一消化液の唾液がしっかり分泌されることが、胃や腸に「これから食べ物を送るよ」と合図を送ることになります。その合図により胃は胃酸を出す準備をします。つまり、よく噛むことが全ての消化吸収能力の鍵を握っているのです。

 

それでは、消化吸収能力を上げることと、身体の疲れやすさはどのように関係しているのでしょうか。

例えばランチに豚の生姜焼き定食を食べたとします。定食の内容は、ご飯・豚肉の生姜焼き・生キャベツ・トマト・味噌汁です。栄養バランスでみると、炭水化物・ビタミン・ミネラル・たんぱく質・脂質とバランスが取れた食事です。これらの栄養素がしっかり吸収されれば、栄養素が細胞で本来の働きをし、仕事に対してのやる気や集中力につながります。

しかし、同じ豚の生姜焼き定食でも、あまり噛まずに食べた場合は、胃での消化に負担がかかり、食べ物は腸が吸収しやすい状態で送られません。そのため、腸で栄養素としての吸収されにくくなります。それどころか、あまり分解されずに大きな分子で運ばれてきた食べ物は、腸の粘膜を傷つけて炎症を起こしてしまいます。

また、胃酸があまり出ていない状態でも消化不良は起きます。胃にピロリ菌が存在していたり、胃に不快感があったりする場合は、胃粘膜が正常に機能せず、胃での消化がしにくい状態です。胃酸がしっかり分泌されていないと、ビタミンやミネラルは食べ物から分解されません。よく噛むことと同様、胃に問題がある場合も早めに治療しておくことをお勧めします。

このように、咀嚼不足や胃腸粘膜の損傷があることで、食べた物が栄養素として吸収しにくい状態となり、全身の細胞まで効果が発揮できる栄養素が運ばれなくなってしまうのです。

せっかく栄養のバランスを考えて豚の生姜焼き定食を食べたのに、その栄養が自分の身体のためになっていないとしたら、もったいないですよね。

 

身体は、全身の細胞に栄養が満たされていないときに「エネルギー不足」と判断し、疲れやすくなります。

仕事に対するやる気や集中力が続き、心身のコントロールができる状態であれば、仕事のパフォーマンスは上がりやすいはず。そのためには、しっかりと全身の細胞に栄養を送ってあげることが重要なのです。そして、そのためには口・胃・腸・血液・細胞と全て組織がしっかり働く必要があるのですが、その中でも「よく噛む」ことが、ポイントになります。

また、「よく噛む」ということを習慣づけると、普段の自分の食事と向き合うようになれます。何でもいいから満腹になればいい」「ランチを選ぶのが面倒だから毎回パンでいい」「とにかく早く食べ終わる麺類がいい」などと食事を選んでいる場合は、自分の身体となかなか向き合えていないものですよね。

車にガソリンの代わりに何でもいいからと適当な油を入れていると、しばらくは走るかもしれませんが、いずれ車は故障します。

人間の身体も同じように、本来の身体の機能を発揮できるものを身体に入れてあげる必要があります。そのためには自分の身体と向き合うことが大切。「よく噛む」ことは、自分の身体と向き合う第一歩です。意識的に食事でよく噛むようにしていると、「自分の身体を大切にしよう」という気持ちになり、身体の中に入れる食べ物も変わってくるのではないでしょうか。

一口30回の咀嚼は難しくても、まずは一口15回を目安に「よく噛む」習慣をつけてみましょうね。

 

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にしだかなこ

にしだかなこ

管理栄養士・幼児食アドバイザー メンタルヘルスと“食”について支援センター等で講師を務める。 2016.12「心を育てる食育」出版。

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