健康経営・働き方改革を推進する企業インタビュー

【事例で学ぶ働き方改革】ソフトバンク コマース&サービス株式会社

働き方改革を推進する企業が取り組む施策として、「長時間労働の是正」を掲げる企業は大企業から中小企業まで多くあります。今回は、社員が楽しく仕事ができる環境づくりに注力し、社員満足度も上昇傾向にあるソフトバンク コマース&サービス株式会社のコーポレート管理統括室 室長の市川氏にお話を伺いました。

 


ソフトバンク コマース&サービス株式会社

2015年7月に在宅勤務制度の整備をはじめ、2017年4月から本格的に社内の働き方改革を実施。AI、RPAを活用して業務を効率化し、社員が毎日楽しく出社できる環境づくりを推進する「Smart & Fun!~ITを駆使して、スマートに楽しく働こう~」のスローガンをもとに様々な取り組みを実施。毎月平均の残業時間を毎年約3時間ずつ削減。従業員の幸福度向上につなげる。

コーポレート管理統括室

室長 市川 隆博

 

 


|2017年4月からスタートした「3+2」の制度

 

―――御社では、社員が楽しく働ける環境づくりのために、働き方改革を推進しているとお聞きしましたが、現在はどのような施策を行っていますか?

弊社では、2017年から「スーパーフレックスタイム制の全社導入」「在宅勤務拡充」「Smart & Fun!支援金」の3つの施策を開始しました。

1つ目は、「スーパーフレックスタイム制の導入」。個人・組織として最も効率良く働き、社員一人ひとりがプロフェッショナルとして成果を最大化することを目標に、コアタイムの無いスーパーフレックスタイム制を全社に導入しました。

2つ目は、「在宅勤務拡充」。それまでは、主に育児や介護等、時間に制約がある社員のみなさんが活用していた在宅勤務制度をより使いやすくしました。

3つ目は、「Smart & Fun!支援金」。将来IT・AI化が進むと仕事の質は変化し高度化することが予想され、社員一人ひとりが進化していくためにも、既存の枠組みを超えて外部から新しい刺激を受けることで、クリエイティブ・イノベーティブな発想や思考を持つことが重要です。そのために月1万円を正社員全員に支給しました。

このタイミングで、毎月最終金曜日を「プレミアムフライデー」として、全社員に15:00退社を奨励し、部門によって取り組みに差があった「No残業Day」(原則毎週水曜日)も改めて全社的に実施を徹底しました。

弊社ではこれらの施策をすべてを「Smart & Fun!」制度としています。「Smart」は効率化、「Fun」は楽しい仕組みづくり。どうすれば仕事をより効率化できるのか?ということを考え、楽しんで実施できるものにしたい、ということでスタートしました。

 

―――社員のプライベートな時間を確保するためにも大事な制度ですね。実際に制度を利用する人は多いのでしょうか?

そうですね。例えば、今までは、急に子供が病気になってしまい、病院へ連れて行かなければならないといった状況だと、半休をとって午後出社したりしていました。しかも、3時間働くために往復3時間かけて出社する場合もあります。

これは、当人にとっても、会社にとっても大変非効率的なことです。今は、このような場合でもスーパーフレックスタイムと在宅勤務を組み合わせたりして、効率的に働くことができるようになりました。

プレミアムフライデーやNo残業Dayは、自己研鑽の時間に充てたり、社員同士の飲み会に利用する人も多いですね。

「 Smart & Fun!支援金」として、社員一人ひとりに、自己投資のための費用として月1万円を支給していますが、例えばボクシングのジムに通ったり、ダンスを習っている人などもいますね。ほかには、健康増進目的でマラソンの時間に使ったり、書籍を何冊か買って自分の知識を蓄えたり、人によってさまざまな活用をしています。

 

|Smartな仕事を実現させる「やめる、変える会議」

 

以上は制度の話ですが「Smart&Fun!」の取り組みとして結果を出すため、人事が主体となって役員をオーナーにしてプロジェクト化しました。

1年目は、「やめる会議」を実施し、導入から時間が経過して形骸化している業務やそもそも必要のない業務の削減による仕事の効率化を目指しました。

実施前は、各種制度や経営的な課題に関する意見が多く出るものだと思っていました。例えば、「360度評価をやめる」、「ESサーベイをやめる」など。実際に実施してみるとみなさんの日々の業務と関係がある内容が多く挙がりました。「あの定例会議はやめるべき」とか、「営業の交通費の精算は負担が大きいので簡素化して欲しい」など、全部積み上げたら2,000個ぐらいになりました。

それも「やめる」だけではなく、「変えてほしい」という意見も多く、改善の仕方も様々あると学び、「やめる、変える会議」として小さなところから効率化をするための会議となりました。

1年目は試行錯誤しながらの実施だったため、ESサーベイの結果は「前年度と変わらず」という評価でした。

しかし、2年目に入り、これまでの取り組みが実を結び、「Smart & Fun!」「業務改善」「有給消化」などの項目でもポイントが大きく上昇しました。社員からも、「有給休暇が取りやすくなった」「全社的に在宅勤務をもっと推進してほしい」など効果を実感する声が出てきました。

 

|AI、RPAをフル活用!残業時間を2年で月5時間削減

 

―――「やめる、変える会議」で出た意見は具体的にどのような変化となりましたか?

弊社では、AIやRPAを活用することで、業務のプロセスを見直し、業務を自動化・効率化しています。

例えば、自動的にメールの中身を読んで用件ごとに仕分けする、型番指定の見積依頼に関してはAI・RPAで自動的に見積もりを作成する、など。

他にも、AIで案件の受注確度を見える化して営業を効率アップすることに活用しています。

こうしたAI・RPAなどを活用した効率化の取り組みは、社内コンテストを実施し、ポータルサイトや社内報を通じて社内へ共有し、取り組みを盛り上げるよう工夫しています。

 

―――最先端の技術を取り入れた、御社ならではの取り組みですね。

はい、こうした仕事の効率化や「Smart&Fun!」の各施策によって、毎年だいたい3時間ぐらい残業時間を削減しています。

 

|実施のコツは「巻き込み力」!小さな呼びかけでも大きな効果

 

―――御社で本格的に働き方改革を始めたきっかけというのはどのようなところにありましたか?

情報革命のパラダイムシフトの真っ只中にいる私たちとして、時間や場所に縛られない働き方が当たり前になる将来に向け、率先して既存の働き方を「本気で」改革していこうというトップメッセージが始まりです。

私自身、時間や場所に縛られずに楽しく働きたいというのがありましたね。もちろんしっかり働きますが、朝の通勤ラッシュですごく混み合う時間帯にわざわざ出社する必要あるのかな?というような。

そういったところに疑問を持ち始めて、「誰かが意志をもってやろう」と思い「Smart & Fun!」プロジェクトをスタートさせました。

 

―――「Smart & Fun!」のプロジェクトを実施するにあたって課題などはありましたか?

1年目の課題としては、役員を本気にさせるのが難しかったですね。

社長は生産性や効率を上げるための取り組みに対しては経営者の重要な課題として理解があったため、やりやすかったところがありました。しかし、役員の中には極論「業績数値を上げていればいい」という雰囲気もありました。

そのため、まず役員の評価へ「Smart & Fun!」の項目を設定し、最初の3ヵ月は「そもそも人事とは?」というすり合わせから始まりました。1年間、時間をかけて思いを伝えることで、今では役員も本気で取り組んでいます。

これからの課題としては、「現場をどこまで巻き込めるか?」というところですね。とくに本部長と課長クラスです。課長は経営層から伝わってくるビジョンや戦略と、現場との接点ですから、そこのグリップがきけばさらに多くのことができると思います。

そのために必要なのは、まずは、とにかく「繰り返す」ことですね。例えば、全社朝礼やキックオフなど社長が社員全体にメッセージを伝えるタイミングでは、必ず「Smart & Fun!」のことを話しますし、プロジェクトの事務局からも定期的に活動内容を配信しています。

 

|働き方改革のゴールとは? 社員にとって大切なことは何か?

 

―――今後の御社での働き方改革の構想としては、どのように展開していく予定ですか?

高い生産性と時間や場所に縛られない働き方を両立させることだと考えています。

また、働き方改革というのは、会社だけではなく、社外も含めて自由な働き方を実現することだと考えております。そのため弊社では副業を認めていますし、会社に所属しながらやりたいと思えることをできる環境づくりを行っています。

最終的には、社員が人生のさまざまなライフステージで変化に対応した働き方を選択できることを実現するのが働き方改革のゴールだと考えます。

 

 

今回お話を伺いました、ソフトバンク コマース&サービス株式会社 では、より多くの社員の意見に耳を傾け、少しずつ意識を変化させることで、社員一人ひとりの働きやすい環境づくりを実現しました。本格的な実施からは2年目でまだまだと話す市川氏でしたが、実施した様々な取り組みは、社員の働き方と意識を大きく変化させるものだと感じました。

今回のケースは規模の大きい会社の「長時間労働是正」「有給休暇取得率向上」ということで、システムなどはIT企業ならではの工夫が見られました。

また、「巻き込み力」を発揮し、率先する社員の存在が2年で大きな成果を挙げられた要因であると考えられます。

 

方法や仕組みづくりも大切にしながらも、一度、自身がどれだけ周囲の人を巻き込めているか(巻き込めるか)という視点で考えてみるのもいいかもしれません。

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